化学物質評価研究機構www.cerij.or.jp

本機構は、化学物質等に関する試験・検査、評価、研究・開発等を行うことにより、化学物質等の品質の向上及び安全性の確保並びに環境保全及び衛生保持を図り、もって産業の健全な発展と国民生活の向上に寄与することを目的として活動している機関です。
私どもは、化学と環境の調和を念頭に公正で中立な第三者機関として、優れた技術陣が最新の設備のもと化学分析手法と生物試験手法とを駆使し、皆様方の各種研究・開発を支援するとともに、技術的問題点を解決するための試験、検査、研究、調査を実施してまいりました。
本機構は、化学物質の総合管理に向けて、開発から製造、消費、廃棄に至るまでの全ライフサイクルにおける基礎研究、試験方法の開発、リスク評価手法の開発、情報収集・解析などを行い、総合的な評価を行う機関を目指していきます。


サービス内容

化学物質・農薬・医薬品等の安全性試験

分解度試験

分解度試験により、化学物質の生分解性を評価することができます。生分解性の評価により、化学物質の環境中における残留性を確認できるため、分解度試験は化審法をはじめとする世界各国の化学物質関連法規制等で活用されています。

濃縮度試験

濃縮度試験は、化学物質濃度を一定にした流水条件下で魚を一定期間(通常は28日間)飼育し、経時的に測定した水中と魚体中の化学物質濃度の比より濃縮倍率(BCF)を算出する試験です。通常、日本では試験魚としてコイを用いますが、本機構では海外で一般的なニジマス等の魚種を用いることも可能です。  
化審法をはじめとする世界各国の化学物質関連法規制等で濃縮度試験は活用されていますが、化審法では、濃縮性が低いと予想される場合は分配係数測定試験により濃縮性を判断することも可能です。

一般毒性試験

一般毒性試験では、工業化学物質、医薬品、農薬、食品添加物及び特定保健用食品等を 動物に投与し、投与期間中に状態観察、体重測定等、投与後に病理検査、血液学的検査、 血液生化学的検査等を行い、毒性を評価します。投与経路は人の暴露経路等を想定し、経 口、経皮、静脈内、腹腔内、皮下、気管内等があります。投与期間は、短期の影響を評価 するための単回投与から、化審法等で規定されている28日間反復投与、中長期の影響を評 価するための90日から1年間の長期投与があります。

遺伝毒性試験

遺伝毒性試験は、化学物質の発がん性や遺伝的障害を短期間で予測することができるスクリーニング試験です。

発がん性予測システム(CARCINOscreen®)について

発がん性スクリーニングの一環として、本システム(CARCINOscreen®)を開発しました。  
本システムは化合物を投与したラット肝臓における遺伝子の発現量を測定し、発がん性予測用にカスタマイズされた遺伝子群を用いて、早期に化合物の発がんリスクを予測するものです。通常のげっ歯類を用いた発がん性試験は投与期間として2年間が必要ですが、本システムでは14日間もしくは28日間の短期間投与で得られる生体試料を適用できることが大きな特徴です。

その他の毒性試験

本機構では一般毒性試験及び遺伝毒性試験以外の毒性試験として、マウス局所リンパ節増殖試験、細胞毒性試験、光細胞毒性試験や生殖毒性試験を実施しています。

生態毒性試験

生態毒性試験は、化学物質の生態系への影響を評価する試験です。我が国では生態系に意図的に放出される農薬を中心に試験が実施されてきましたが、平成15年の化審法改正において生態毒性試験が導入され、10トン超製造・輸入される難分解性の工業化学物質等に対して試験が要求されるようになりました。本機構は、魚類急性毒性試験を始めとして、35年以上の生態毒性試験の実績があります。化審法申請で必要な試験のみならず、様々な水生生物を用いた試験をGLP基準で実施することが可能です。

高分子フロースキーム試験

高分子フロースキーム試験は、昭和62年に化審法において高分子化合物の安全性を簡易的に評価するために制定された試験です。分子量分布測定、安定性試験及び溶解性試験の3つで構成されており、生分解性及び濃縮性を簡易的に評価することができます。さらに、人健康影響及び生態毒性については、高分子化合物中の官能基及び水溶解性等により判断されます。
本機構は、20年以上に渡り500物質以上の実績があります。水溶性高分子や変化しやすい高分子化合物についても多数実績があり、これらのノウハウを基に様々な高分子化合物について最適な試験を実施することが可能です。

農薬作物残留性試験

農薬作物残留性試験は、試験圃場において作物の栽培及び農薬散布等を行った後、収穫した作物への農薬の残留の程度を調査(分析)する試験であり、農薬の散布方法や残留基準値を定めるために用いられます。
平成23年4月よりGLP基準に基づいて試験を実施する必要がありますが、本機構では試験圃場と連携するための標準操作手順書(SOP)等の整備を完了しており、農薬作物残留性試験の分析部分についてGLP基準で実施することができます。

in vitro試験

近年、科学技術の進歩により、様々な動物実験の培養細胞や組織での代替が試みられています。これらのin vitro試験、代替法試験は動物愛護面のみならず、経費の削減、時間の短縮など様々な利点を有しており、EUにおける化学物質規制(REACH)においても推奨されています。また、in vitro試験は化学物質の薬理・毒性作用機序の解明や開発候補化合物のメカニズムベースでのスクリーニングなどにも有効利用でき、開発に要する時間短縮や効率化にも有効です。

オミクス解析

本機構は、SDS-PAGE、二次元電気泳動等を用いた各種タンパク質の測定から、高精度なプロテオーム解析まで実施しています。

医薬品の安定性・品質・規格・薬物動態試験

本機構は、化審法で培われた高度な分析技術を生かして、昭和63年より医薬品分析業務を開始しました。現在、医薬品の貯蔵方法・有効期間の設定に必要なデータを収集する安定性試験を始めとして、品質・規格試験や微生物試験をGMP体制や信頼性基準に対応して実施しています。また、ヒト及び動物の吸収・分布・代謝・排泄等薬物の体内動態測定(薬物動態試験)も実施しています。
お客様ニーズの拡大に対応し、平成22年秋には日田事業所に医薬品安定性・品質・規格試験用の別館棟を建設し、検体保存設備及び分析機器の増設を行いました。また、微生物試験室も新設し、微生物試験の実施体制を拡充しました。

ゴム・プラスチックの総合評価試験

成形加工 配合設計加工性・分散性評価試験片作製
物理的解析 材料物性環境試験熱物性形態観察
化学的解析 材料分析化学構造解析分子量分布の測定燃焼生成ガスの分析表面分析においの分析加熱発生ガスの分析生分解性
総合的評価 事故原因究明 寿命評価
製品の検査 衛生試験 SGマークゴミ袋試験STマーク靴製品試験

環境調査(水、大気、土壌)

環境汚染物質の実態調査(環境モニタリング)

近年、地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨等地球規模の環境問題への関心が高まってきています。 また、化学物質の製造、販売者は、使用された後の化学物質の環境への影響を把握し、環境リスク評価、リスクコミュニケーションを的確に行うことが求められています。そのため、環境中での化学物質の分布を正しく把握することが不可欠となっています。
本機構は、広範囲にわたる環境汚染物質の調査地点の選定や調査頻度等、調査計画、サンプリング、分析はもちろんのこと、拡散範囲・減衰状況調査による環境影響評価、分解物・代謝物も含めた調査による環境動態の解明等を一貫して行うことができます。

水質の分析

工場排水は、水質汚濁防止法、下水道法により排出基準が設定されています。また、自治体により、上乗せ規制が設定されている場合があります。基準値は工場が設置されている自治体にお問い合わせください。  
本機構では、水道水・工業用水・工程水・工場排水・地下水・河川水・下水道水 等、各種水質分析を行っています。

アオコの毒素分析

急速に富栄養化が進行した湖沼や湾などの閉鎖性水域では、生物相のバランスが崩れ、しばしばある種のプランクトンなどが異常に増殖することがあり ます。こうして大発生した浮遊性の藍藻類が水面に浮き上がり、緑色のペンキを流したような状態になることを「アオコ」といいます。このアオコは景観を損ねるばかりでなく、藍藻類が生産する毒性物質により野生動物や家畜の死亡を引き起こし、多くの国々で問題となってきています。
アオコの藍藻毒としては、Microcystis属の産生するMicrocystin(マイクロシスチン)及びAnabaena属 の産生するAnatoxin(アナトキシン)がよく知られています。Anatoxin-aは、架橋2級アミンを有するアルカロイド様物質であり、アセチル コリンの伝達を遮断することによって毒性を発現する神経毒で、腹腔内投与でマウスを5〜10分で死亡させるほど、強い毒性を示します。
日本でも近年、琵琶湖・諏訪湖・霞ヶ浦などでアオコが頻繁に発生しており、人体への影響が懸念されます。本機構では、これらのアオコの毒素分析を行うことができます。

ばい煙(排ガス)の測定

「大気汚染防止法」により、ばい煙、粉じん、特定物質、有害大気汚染物質の排出量が規制されています。「有害大気汚染物質」とは、改正大気汚染防止法 (1997年(平成9年)4月1日施行)第2条において、低濃度であっても長期的な摂取により健康影響が生ずるおそれのある物質で大気汚染の原因となる物質です(2010年(平成22年)10月18日、中央環境審議会「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第九次答申)」)。 本機構ではこれら規制物質のサンプリング、測定分析を行っています。

作業環境の測定

本機構では、作業場の粉じん、特定化学物質、鉛、有機溶剤の測定をはじめ、がん原性指針対象物質、騒音、温湿度、ふく射熱等の測定も行っています。

室内空気汚染物質の測定

本機構では厚生労働省の「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」による室内濃度に関する指針値、測定方法に対応した測定を行っています。

悪臭物質の測定

近年、悪臭に対する苦情件数が急激に増加しています。良いにおいと思われるにおいであっても、強さや頻度によって不快なにおいになることがあります。人々のにおいに対する変化もあり、悪臭に対する関心はますます高まっています。
「悪臭防止法」により、規制地域内の工場・事業場の事業活動に伴って発生する悪臭について規制されています。

湧出ガスの分析

温泉などに含まれる湧出ガス、特に、可燃性ガス等の測定を行っています。

土壌分析

工場跡地等の再開発等に伴い有害物質による土壌汚染が顕在化しています。
本機構は、計量証明事業者として土壌分析を行い計量証明書の発行をいたします。

ダイオキシン類の分析

ダイオキシン類の環境中での濃度は、極微量であるため、その濃度を正確かつ精度よく測定する必要があります。
本機構では、特定計量証明事業者の認定を取得し、採取計画、試料採取、前処理、機器分析、結果の検証、報告書発行まで一貫した精度管理体制の下に測定を行っています。
排ガス、水質、底質、土壌、大気等の環境測定のほか、工業薬品、製品等の各種媒体中の測定、燃焼生成量の測定も行っています。

特定粉じんの測定

石綿(アスベスト:asbestos)は天然に産出する繊維状珪酸塩鉱物です。アスベストは高い抗張力と柔軟性を持ち、高温や化学薬品にも強く、断熱性などにも優れた性質をもっています。  
一方、長期間の吸入ばく露により、石綿肺、悪性中皮腫などの健康被害を生じさせると言われ、人への健康被害が問題となり、法規制がとられてきました。  
本機構では位相差顕微鏡を使用し、事業場における作業環境中のアスベスト測定、建築物室内中のアスベスト測定及び大気中のアスベスト測定を行っています。

簡易専用水道検査

受水槽の有効容量(実際に使用できる貯水量)が10m3を超える受水槽を簡易専用水道といいます。簡易専用水道は、「水道法」により設置者又は代行者(管理会社など)が管理し、その管理状況について、1年以内に1回、厚生労働省登録検査機関による検査を受けることが義務付けられています(水道法第34条の2第2項)。
本機構では、水道法に基づいた簡易専用水道の検査を昭和54年以降受託しています。また、法的義務はありませんが有効容量10m3以下の施設においても簡易専用水道と同様に小規模給水施設として検査を行っています。

食品・製品等の分析、評価

超純水、酸中の極微量不純物分析

化学分析などの試験研究の内容が複雑化・高度化してきており、試験に用いる超純水や酸の品質が問題となってきています。試験に超純水や酸を用いる場合、 超純水や酸を用いて検量線用標準液を調製する場合など、品質としての重要な項目である不純物濃度の把握が重要となります。
本機構では、超純水や酸中の極微量の不純物の測定を行っています。

試薬、薬品の規格分析・不純分(不純物)分析

有機溶剤、酸、金属類、塩類等の試薬、薬品について、日本工業規格(JIS) に基づいた各種規格分析を行います。その他の規格(例えば自社規格)についても実施可能ですのでご相談ください。
また、規格試験以外にも、試薬、薬品等、工業製品に含まれている各種化学物質(成分や不純物)の定性・定量分析を実施しています。

水道用薬品の分析

硫酸アルミニウム、水酸化ナトリウム、塩酸、次亜塩素酸ナトリウム等の水道用薬品について、厚生労働省の「水道用薬品類の評価のための試験方法ガイドライン」に基づいた試験を実施しています。

製品検査分析

RoHS/ELV指令の分析、グリーン調達対象物質の分析、高懸念物質(SVHC)の分析、オフガステスト 、玩具、アクセサリー等に含有する鉛の分析、ジエチレングリコールの分析、紫外線吸収剤の分析、エチレンオキサイドガスの分析、ヘキサブロモシクロドデカンの分析 、絶縁油中の微量PCBの分析、防腐剤及び防かび剤の分析、PFOS及びPFOAの分析 、ハロゲン・酸の分析

標準物質(標準ガス,標準液)の校正、供給、クロマトグラフィ用カラム、化学物質規制対応及びリスク評価

ガス発生装置及び精製装置の評価

本機構では、室内空気(酸素濃縮前)及び発生ガス中の成分・不純物(酸素、窒素、アルゴン、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、全炭化水素、一酸化窒素、二酸化窒素及び二酸化硫黄等)の濃度分析を行うことにより、性能評価を行っています。また、窒素ガス発生装置から発生する成分・不純物の濃度分析も行います。
また空気精製装置は、ガス分析のゼロガス用や、水素炎イオン検出器(FID)の助燃用として使われております。それらの用途では、精製空気中の不純物が分析結果に影響するため、それらの評価が重要になります。本機構では、室内及び発生ガス中の不純物(水素、一酸化炭素、二酸化炭素、全炭化水素、一酸化窒素、二酸化窒素及び二酸化硫黄等)の濃度分析を行うことにより、性能評価を行っています。空気精製装置以外にも、窒素精製装置や水素精製装置で不純物分析をします。

光触媒の性能評価

本機構は、JIS R 1701「ファインセラミックス−光触媒材料の空気浄化性能試験方法」及びJIS R 1751「ファインセラミックス−可視光応答形光触媒材料の空気浄化性能試験方法」に基づき試験を実施しています。

アルコール測定装置の性能評価

呼気中のアルコール濃度を測定する装置は、半導体センサーを搭載した安価なもの(数千円程度)からアルコールの赤外線吸収を検知する高価なものまで各種市販されています。測定値の正確さは、装置の管理や整備状況により大きく変わるため、定期的な整備・校正を受ける必要性があります。
本機構では、国家標準(JCSSエタノール特定標準ガス)と同じ方法により調製された標準ガスを用いて、装置の校正や性能評価を行っています。

水分計の校正

平成21年5月に独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)において微量水分標準(12 nmol/molから1200 nmol/mol)が確立されたことから、本機構は、産総研にトレーサブルな水分計を用いて、水分計校正業務を実施しております。

標準物質(標準ガス・標準液)の校正、供給

本機構は、濃度(標準ガス及び標準液)に係る指定校正機関として経済産業大臣から指定され、一次標準物質を調製・維持管理し、登録事業者に対し二次標準物質の供給(校正)を行っています。 登録事業者のいない標準物質については、CERIが直接、供給を行います。供給する標準物質は、特定標準物質で値付けされた特定二次標準物質です。この際、JCSSのロゴマーク付き証明書が付きます。


試験事業者認定制度に基づく試験

JNLA登録試験事業者(大阪事業所)

登録範囲: 高分子引張試験、高分子硬さ試験、赤外分光分析、原子吸光・炎光光度分析、高分子浸せき・抵抗性試験、高分子ひずみ試験、高分子老化試験、高分子難燃性試験、高分子気密性試験、高分子使用特性試験、高分子曲げ試験、高分子温度特性試験、浸出性能試験、骨材試験


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